※本記事はアフィリエイト広告を含みます。筆者は元生産補助材メーカーの営業職です。
スチール棚や作業台のカタログにある「耐荷重」。実は、その数字が何を意味しているかを知らないと、棚板のたわみや事故につながります。この記事では、工場備品メーカーで営業をしてきた筆者が、均等耐荷重・集中荷重・最大積載荷重の違いと、現場で使える計算方法を解説します。
「耐荷重200kg」なら、180kgの金型を載せても大丈夫?
棚や作業台のカタログに「耐荷重200kg」と書かれていれば、180kgの金型を載せても安全だと思いますよね。
ところが、180kgの金型を1つだけ棚板の真ん中に置くと、棚板が大きくたわむことがあります。また、180kgの4本脚の検査機器を置くと、脚が当たっている部分だけがへこむこともあります。
「えっ!?耐荷重200kgって書いてあったじゃん!」と思いますよね?実は、そこに落とし穴があるんです。
メーカーのカタログを、もう一度よく見てみてください。きっと「耐荷重」の前に「均等」という文字があるはずです。つまり、その数字は単なる「耐荷重」ではなく、「均等耐荷重(均等荷重)」なのです。
この2つは似ていますが、意味は大きく違います。今回は、この「耐荷重」という言葉について説明していきます。
【結論】耐荷重には「均等耐荷重」「集中荷重」「最大積載荷重」がある
結論
- 均等耐荷重(均等荷重):棚板や天板全体に、重さを均等に分散して載せたときの許容重量。カタログの「耐荷重」は多くがこれ
- 集中荷重:棚板や天板の一点(特に中央)に重さがかかるときの許容重量。均等耐荷重より小さくなる
- 最大積載荷重:棚1台全体で載せられる合計の重さ。「1段の均等耐荷重×段数」より小さい場合がある
均等耐荷重と集中荷重の違い
最初の180kgの例で言えば、作業台や棚の「均等耐荷重200kg」は、「棚板や天板の全体に、重さを均等に分散して載せたときに200kgまで耐えられます」という意味です。
180kgの金型や、180kgの4本脚の検査機器は、重さが一点(または脚の数か所)に集中しています。これが「集中荷重」です。均等耐荷重が200kgあっても、集中荷重がかかると、天板がへこんだり棚板がたわんだりしてしまうのです。
集中荷重はカタログに書かれていないことも多いので、重いものを一点に置く場合は、メーカーに確認するのが確実です。
棚は「最大積載荷重」にも注意
棚には、棚板1段あたりの「均等耐荷重」とは別に、棚1台全体の「最大積載荷重」があります。メーカーによっては、「棚1連あたり」と書かれていることもあります。

例えば、棚板1段あたりの均等耐荷重が200kg、最大積載荷重が1,200kgの棚があるとします。この棚に棚板が7段あり、すべての段に200kgずつ載せると、200kg×7段=1,400kgになります。

注意
1段ごとの均等耐荷重を守っていても、棚全体で最大積載荷重を超えてしまうと、安全に使うことはできません。棚を選ぶときは、1段あたりと棚全体の両方の数字を確認しましょう。
3つの耐荷重の違い【一覧表】
| 種類 | 意味 | どこで影響するか | カタログの書かれ方 |
|---|---|---|---|
| 均等耐荷重(均等荷重) | 棚板全体に均等に載せたときの上限 | 箱やコンテナーを並べる場合 | 「耐荷重:200kg/段(均等荷重)」「均等耐荷重」 |
| 集中荷重 | 一点に載せたときの上限 | 金型・モーターなど、重いものを1個だけ置く場合 | 記載がないことも多い。メーカーに確認 |
| 最大積載荷重 | 棚1台、または支柱が支えられる合計 | 全段に重いものを詰める場合 | 「最大積載荷重」「1連あたり」「1台あたりの耐荷重」など |
現場で使える計算例
例1:部品箱を並べる(均等耐荷重で考える)
- 棚:均等耐荷重200kg/段
- 荷物:15kgのコンテナーを横に並べる
- 計算:200kg ÷ 15kg ≒ 13個 → 余裕を見るなら10個程度が目安
例2:金型を1個だけ置く(集中荷重で考える)
- 棚:均等耐荷重200kg/段
- 荷物:120kgの小さな金型1個
- 考え方:均等耐荷重の範囲内でも、一点に重さがかかるので危険です。メーカーに集中荷重の値を確認するか、載せる場所を支柱寄りにするか、厚い板を敷いて重さを分散させます。
例3:棚の全段に載せる(最大積載荷重で考える)
- 棚:均等耐荷重200kg/段 × 7段、最大積載荷重1,200kg
- 計算:200kg × 7段 = 1,400kg → 最大積載荷重の1,200kgを超えるのでNG
- 考え方:全段に均等に載せるなら、1段あたり平均約170kgまで(1,200kg ÷ 7段 ≒ 171kg)に抑えます。
知らないと危険な3つのポイント
① 「放り投げる」と、重さは何倍にもなる
耐荷重は、静かに置いたときの値です。箱を落とすように置くと、その瞬間は実際の重さ以上の力がかかります。
② 棚板の「たわみ」は危険信号
棚板が目で見て分かるほどたわんでいたら、過荷重の可能性があります。たわんだ棚板は元に戻らないことが多いので、交換を検討します。
③ 台車からの「滑らせ入れ」も負担が大きい
重い荷物を棚板の端に引っ掛けて押し込むと、棚板の手前側だけに重さがかかります。重いものを扱う棚は、余裕のある耐荷重を選びます。
営業の現場メモ
耐荷重については、大学や病院向けの作業台で、よくお叱りを受けました。「300kgの機械を置きたいから、耐荷重350kgの作業台を買ったのに、検査機器の脚の部分の天板がへこんでいる」というものです。
一般的に、耐荷重350kgクラスの作業台は「軽量作業台」と呼ばれ、天板の中が詰まっていない構造のものが多く、特に集中荷重には弱いのです。
このような相談には、天板の構造と、耐荷重・均等耐荷重の違いを説明したうえで、集中荷重がかかるものを置く場合は、天板の中身が詰まっている中量以上の作業台をおすすめしていました。
棚・作業台の耐荷重チェックリスト
今すぐ確認したい5つのこと
- 均等耐荷重以下の重さで使っているか
- 棚全体の合計が、最大積載荷重を超えていないか
- 一番重い荷物が、棚板や天板の真ん中に置かれていないか
- 棚板や天板に、目で見て分かるたわみがないか
- (棚の場合)重いものが上段にないか、支柱やビームに曲がりや亀裂がないか
高価な機械や金型ほど、耐荷重に余裕を
カタログの耐荷重は、「均等に、静かに載せたとき」の値です。重いものを一点に載せるなら、集中荷重をメーカーに確認するのが確実です。
特に、三次元測定機のように天板の上で動く部分がある機械を載せる場合は、作業台本体の重量もなるべく重いほうが安定します。
高価な機械や金型を載せるときは、多少費用がかかっても、均等耐荷重に余裕のある作業台や棚を選ぶほうが安心です。
